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星の向こうにあるもの


いつまでも夢を見続けていたい  無断転載禁止。著作権は放棄してません。
by star0aqua
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結婚生活40年目のはじまり。

ベランダから眺める広島の町は、どことなく騒がしい。
お互いに何も言わないで、窓の外を見ていると、
今までの結婚生活の40年間が、穏やかなように思えてくる。

だが、遠くを見ているお互いの人生にはかなりの隔たりがあった。

もう、ここで終わる、いや終わらせなければならないと
確執の気持ちを払拭して、口を開いた。
ただ、一言、

「今までの人生ありがとう。」

優子の頬に、一滴の涙が流れた。





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# by star0aqua | 2006-07-23 08:51 |

朝のラッシュに

「もう嫌だ。
あのオヤジの顔を見るのも嫌だ。
ずぅーと向こうからいつもチラチラ見ている。
あぁーやだやだ。」

大町駅で電車に乗り込む勇太には、あのオヤジの顔を
見るのが朝、苦痛でならなかった。
いつもチラチラこちらを見ているのだ。

実はこのチラチラ見ている勇太がうっとうしいと
思っているこのオヤジこそ、なにを隠そう実の父親。
源太であった。

源太は優太に悟られないようにと
密かに朝大町駅のホームで、彼を見るのが楽しみであったのだが、
優太に、最近気がつかれてしまった。

源太がそう思っていると、優太の方からこっちへ歩いて来るではないか
やばぁ!!!。

さすがに源太も反対の方を何気なく見るのだが
心臓はドキドキして今にも爆発しそうだ。

「おじさん、僕に何か用?? いつもこっち見てるでしょ」
優太の生の声を聞くことが出来うれしい反面
うろたえる源太であった。


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# by star0aqua | 2006-07-17 21:58 |

逢う=au

源太は恐る恐る内緒でお父さんの携帯電話をかけてみた。
お母さんが出てくれることを期待しながら。
でも、ホントにお母さんが電話に出てきたら、
どうしようと思っていた。

呼び出し音が 1回 2回 3回 まだ出てこない。 
4回 5回 出てこない。 6回目が鳴ったかと思った途端
携帯電話の向こうから聞き覚えのある声がした。

「もしもし、末田ですけど。もしもし?」
お母さんの声だ。 途端にうれしくなって涙があふれ出してきた。
でも、声を出そうにもなぜか声にならない。

「もしもし?もしもし?」
智子は電話の向こうからのすすり泣く声がわかった。
源太だ!
「源太なの?そうでしょ。源太でしょ」

「おかあさぁ~ん」
源太は2年ぶりに聞く生みの母親の声を聞き、
うれしさのあまり涙で声にならなかった。
いままで、新しいお母さんに父親が遠慮して智子へ逢うのを
許さなかったからだ。

源太は一番最後に、智子と一緒に入った可部線緑井駅のそばにある
フジグランで食べたハンバーグをすぐに思い出し、その後別れる際泣きながら見送った
JR緑井駅の改札での智子の後ろ姿を思い浮かべていた。

源太は1年間の寂しさをいっぺんに
携帯電話にぶつけていた。

auで逢えた。源太にとって、ほんのひと時の大切な時間だった。

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# by star0aqua | 2006-07-09 00:05 |

ぴたぴた 歩け 歩け

ぴたぴた 歩け 歩け

腕をふりふり 急げ 急げ

前  後ろ おいっちに

前  後ろ おいっちに

前からの風が 気持ちいいぞ

もっと進め   もっと進め

前 後ろ おいっちに

前 後ろ おいっちに

ちょっとだけ 後ろが気になった。

でも、前を向いて 

おいっちに 

あ る け
# by star0aqua | 2006-07-08 17:53 |

長い夜

広島駅に着いた。
まだこの時間だと間に合うかもしれない。

でも、足取りがとても重くて気持ちが乗らない。
仕方ないのでとりあえず携帯電話をしてみる。

「今着いた。・・・・・・」
「・・・・・」
「あぁ、今からそちらに行こうと思う。 えっ!もう居ない?」
「どうして?今日行くって言ってたじゃないか。」

どうやら、俺のことなどすっかり忘れて、買い物に出てしまったらしい。
なんてこった、彼女の心の中に、俺はもう住みついていないのか。

「どうしても時間取れない? だめ?って!」
「おいおい、どうしたら会えるんだ。」

今更言っても仕方がないが、原因はこちらにあることは分かってた。
でも、お互いに話し合わなければその先はない。

「ぶらぶらと本通りを歩くしかないか」

どこかで気持ちを落ち着けるためにも
カフェにでも行くこととし、とりあえず広電の路面電車に乗った。

電車に乗ると、向かいの座席には肩を寄り添う二人連れ。
なぜか恨めしいやら、情けないやらで、

気持ちが暗闇へと、引きずられるようで仕方がなかった。


# by star0aqua | 2006-07-07 21:48 |


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