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星の向こうにあるもの


いつまでも夢を見続けていたい  無断転載禁止。著作権は放棄してません。
by star0aqua
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逢う=au

源太は恐る恐る内緒でお父さんの携帯電話をかけてみた。
お母さんが出てくれることを期待しながら。
でも、ホントにお母さんが電話に出てきたら、
どうしようと思っていた。

呼び出し音が 1回 2回 3回 まだ出てこない。 
4回 5回 出てこない。 6回目が鳴ったかと思った途端
携帯電話の向こうから聞き覚えのある声がした。

「もしもし、末田ですけど。もしもし?」
お母さんの声だ。 途端にうれしくなって涙があふれ出してきた。
でも、声を出そうにもなぜか声にならない。

「もしもし?もしもし?」
智子は電話の向こうからのすすり泣く声がわかった。
源太だ!
「源太なの?そうでしょ。源太でしょ」

「おかあさぁ~ん」
源太は2年ぶりに聞く生みの母親の声を聞き、
うれしさのあまり涙で声にならなかった。
いままで、新しいお母さんに父親が遠慮して智子へ逢うのを
許さなかったからだ。

源太は一番最後に、智子と一緒に入った可部線緑井駅のそばにある
フジグランで食べたハンバーグをすぐに思い出し、その後別れる際泣きながら見送った
JR緑井駅の改札での智子の後ろ姿を思い浮かべていた。

源太は1年間の寂しさをいっぺんに
携帯電話にぶつけていた。

auで逢えた。源太にとって、ほんのひと時の大切な時間だった。

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by star0aqua | 2006-07-09 00:05 |
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